
相続の寄与分について!成立要件や特別寄与料との違いも解説

長年にわたって親の介護を続けてきた方や、無償で家業を支えてきた方のなかには、その貢献が相続でどのように扱われるのか気になる方もいるのではないでしょうか。
こうした特別な事情を考えず、法定相続分だけを基準に遺産分割を進めると、納得のいかない結果になり、親族間の争いにつながるおそれがあります。
本記事では、相続で貢献度を反映できる「寄与分」の基本的な仕組みや認められる要件、民法改正で設けられた「特別寄与料」との違いについて解説します。
将来的に実家などの不動産を相続する可能性があり、ご自身の苦労や貢献を遺産分割に反映させたい方は、ぜひご参考なさってくださいね。
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寄与分とは?

相続における重要な制度には、主に被相続人への貢献を評価して、遺産を増額する寄与分というものがあります。
まずは、寄与分の基本的な定義や計算の仕組みについて、解説していきます。
寄与分の定義と趣旨
寄与分とは、共同相続人のうち、被相続人の財産を維持したり増やしたりするために、特別な貢献をした方を考慮する制度です。
通常の相続では、法定相続分を基準に遺産を分けますが、寄与分が認められると貢献した相続人の取得分が増えます。
長年の介護や家業への協力などを金銭的に評価し、相続人同士の公平に近づけることが目的です。
ただし、家族として当然の範囲にとどまる支援では、寄与分として評価されにくい場合があります。
また、主張できるのは原則として法定相続人に限られるため、親族であれば誰でも対象になるわけではありません。
介護等の貢献の評価
寄与分で評価されやすい貢献は、親の事業を支える家業従事型や、要介護状態の親を支える療養看護型があります。
家業従事型では、農業や賃貸物件の管理などを長期間無償で手伝い、財産の維持に関わったかが見られます。
療養看護型では、自宅介護によって介護費用の支出を抑えたことなどが、評価につながる場合多いです。
一方で、通院の付き添いや買い物の手伝いだけでは、親族間の助け合いと見られることも少なくありません。
主張する際は、無償性や継続性にくわえ、財産の維持や増加とのつながりを示す資料が役立ちます。
介護記録や領収書、事業帳簿などを残しておくと、ほかの相続人にも経緯を説明しやすくなるでしょう。
寄与分の計算と仕組み
寄与分を計算する際は、まず遺産総額から寄与分を差し引き、その残額を法定相続分に応じて分けます。
そのうえで、寄与した相続人には、通常の相続分に寄与分を足して最終的な取得額を決める仕組みです。
たとえば、遺産総額5,000万円で寄与分が500万円の場合、残りの4,500万円を基準に分割します。
配偶者が2分の1、子2人が各4分の1であれば、寄与した子は通常の1,125万円に500万円をくわえます。
不動産相続では、土地や建物の評価額が大きくなりやすく、金額の根拠を丁寧に示すことが大切です。
土地評価の資料や賃貸収支の記録を確認しながら、感情ではなく資料に基づいて話し合いましょう。
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寄与分が認められる要件

前章では、寄与分の基本的な仕組みについて述べましたが、自身に該当する型の選び方や、手続きの期限は気になりますよね。
ここでは、寄与分が成立する要件や、申立期限について解説します。
5つの成立要件
寄与分が認められるには、主に5つの要件を満たしているかを確認する必要があります。
1つ目は、配偶者や子など、法定相続人として遺産分割に参加できる立場であることです。
2つ目は、通常の親族間の助け合いを超える、特別な貢献があったことです。
3つ目は報酬を受けていない無償性であり、4つ目は一定期間にわたり支援を続けた継続性となります。
5つ目は、その行為によって財産の維持や増加につながった因果関係です。
賃貸不動産の管理や介護費用の軽減など、具体的な効果を資料で示せると話し合いを進めやすくなります。
5つの型と頻出ケース
寄与分には、家業従事型、金銭等出資型、療養看護型、扶養型、財産管理型の5つの型があります。
家業従事型は親の事業を無償で手伝った場合、金銭等出資型は住宅取得や修繕費などを負担した場合に関係します。
療養看護型は介護を長く担ったケースで、扶養型は生活費の仕送りなどにより被相続人を支えた場合です。
財産管理型では、賃貸物件の清掃や家賃管理を無償で続けた実績が問われます。
不動産相続では、建築資金の援助や賃貸物件の管理が関係しやすいでしょう。
どの型に当てはまるかを整理し、支出記録や管理記録を残しておくことが重要です。
請求時効と申立期限
寄与分の請求そのものに独立した消滅時効はないとされていますが、家庭裁判所で主張できる期限には注意が必要です。
現在のルールでは、相続開始から10年を過ぎると、原則として法定相続分を基準に分割を進めます。
これは、証拠や記憶が残っているうちに協議を進め、遺産分割を長引かせないための仕組みです。
そのため、不動産の管理資料や介護記録は早めに集め、相続人同士で共有できる形に整えておきましょう。
協議で意見がまとまらない場合は、期限を意識しながら家庭裁判所の調停を検討します。
修繕の領収書や管理会社との連絡記録があると、貢献内容を具体的に伝えやすくなります。
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特別寄与料との違いと請求手続きの確認

ここまで、寄与分成立の要件や時効を解説しましたが、特別寄与料の確認手続きなども、おさえておきましょう。
最後に、寄与分と特別寄与料の違いや、手続きの流れについて解説していきます。
特別寄与料との違い
特別寄与料とは、2019年の民法改正で設けられた、相続人以外の親族の貢献を評価する制度です。
寄与分は、遺産分割のなかで主張しますが、特別寄与料は相続人に対して金銭の支払いを直接求めます。
対象は、6親等内の血族や3親等内の姻族に限られ、長男の妻や孫などが該当する場合があります。
一方で、事実婚の相手など法律上の親族ではない方は、原則として対象外です。
また、寄与分は金銭の出資も含みますが、特別寄与料は無償の療養看護や労務提供が中心となります。
義理の親を長く介護して費用負担を抑えた場合などは、制度の利用を検討しやすいでしょう。
請求範囲と計算方法
特別寄与料の金額は、まず特別寄与者と相続人が話し合い、全員の合意によって決めるのが基本です。
協議でまとまらない場合は、家庭裁判所が介護日数や介護報酬相当額などを踏まえて算定します。
ただし、親族としての助け合いという面もあるため、専門職の報酬をそのまま当てはめるわけではありません。
たとえば、介護日数365日、1日7,000円、裁量的割合0.7で計算すると、約178万8,500円が目安となります。
このように、一定の計算方法はありますが、実際の金額は事情により変わります。
また、上限は相続開始時の財産額から遺贈の価額を差し引いた残額までとされているため、財産全体の確認も必要です。
手続きの流れと注意点
特別寄与料を請求する際は、まず相続人全員に協議を申し入れ、合意できたら内容を合意書に残します。
各相続人は法定相続分に応じて負担するため、誰がいくら支払うのかを事前に整理しておくと進めやすくなります。
協議でまとまらない場合は、家庭裁判所に調停を申し立て、不成立となれば審判へ進む流れです。
請求期限は、相続開始と相続人を知ったときから6か月、または相続開始から1年と短く設定されています。
不動産中心の相続では現金が不足することもあるため、支払い方法も早めに話し合いましょう。
介護日誌や診断書を揃えておけば、貢献内容と金額の根拠を落ち着いて説明できます。
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まとめ
寄与分とは、被相続人の財産維持や増加に特別に貢献した相続人の取得分を増やし、遺産分割の公平性を図る制度です。
認められるには無償性や継続性など5つの要件を満たす必要があり、相続開始から10年を過ぎると原則として法定相続分で分けられます。
特別寄与料は相続人以外の親族の貢献を金銭で請求する制度で、期限が6か月や1年と短いため早めの協議が重要です。
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